2019年末から2020年にかけて、韓国で放送された大ヒットドラマ「愛の不時着」。
見たけど忘れちゃった方、
もう一度振り返りたい方のために、
あらすじ(ねたばれ)を書いていきたいと思います。
今回は1話~9話までの前半部☆
セリが北朝鮮にやってきて、帰るまでのストーリーを簡単に解説します!
ちなみに、10話からはこちら↓
1話
ユン・セリ(ソ・イェジン)
財閥令嬢で、「セリズチョイス」の代表。
頭がよく、経営手腕も確かだが、家族の愛には恵まれず、寂しい少女時代を送っていた。
これまで長く男性と付き合ったことはなく、恋愛はビジネスだと思っていたが、リ・ジョンヒョクに出会い変わり始める。
財閥令嬢で、実業家のユン・セリ(ソ・イェジン)は、ある日、パラグライダーで試験飛行にでかけました。
ところが突然の竜巻に遭い、遭難してしまいます。
無事、不時着することができましたが、なんとそこは38度線を越えた北朝鮮。
そこで運命の相手、り・ジョンヒョク(ヒョンビン)と出会います。
しかしリ・ジョンヒョクは国境警備を行う中隊長。
スパイの可能性があるセリに銃口を向けました。
必死に逃げるセリ。
地雷原を超え、深い森を駆け、ようやく小さな町に到着しました。
ところが、どうも様子がおかしいのです。
逃げる方向を間違い、北朝鮮の寒村に到着してしまいました。
セリは途方に暮れてしまいます。
2話
セリが偶然入った民家は、なんとリ・ジョンヒョクの家でした。
中隊長のリ・ジョンヒョクは、国境を越えてやってきたセリをどうするか悩みます。
軍規に従うなら「保衛部」に送られ、取り調べられることになります。
しかしセリには部下の「不都合な秘密」を握られてしまったため、保衛部に送ればそれがバレてしまいます。
・・・とすると、「殺す」しかありませんが:(;゙゚”ω゚”):
心の優しいリ・ジョンヒョクはどうしてもセリを殺すことができません。
一方、セリが失踪したので、韓国では大騒ぎになっていました。
一度はセリに与えられた後継者の座を、長男と次男で取り合うことになったのです。
リ・ジョンヒョクと敵対する人物、チョ・チョルガンが登場します。
チョルガンは、韓国と密貿易することで利益を得ていました。
そして悪事がバレそうになると、密輸にかかわった人物を暗殺するという、軍人の風上にも置けない人物です。
また主要人物のひとり、ク・スンジュンが、北朝鮮に入国します。
クスンジュンは、よりにもよってセリの兄に詐欺を働き、巨額の金をだまし取った張本人で、
セリと、過去に婚約していたこともある間柄です。
韓国からの追っ手から逃れるため、北朝鮮に亡命してきたのでした。
北朝鮮の独特な文化や、素朴な人々の生活が興味深かったです。
練炭で肉を焼いたり、停電で真っ暗になったり、でもびっくりするほど人々は明るく描かれています。
はじめはぶっきらぼうだったリジョンヒョクでしたが、
セリに同情し、わがままを忠実に聞いたり、たのまれたものを買ってきたり。
険しかった顔がだんだん和らいでいくのがわかります。
そして突然の「宿泊検閲」で、リ・ジョンヒョクの家にかくまわれているセリは大ピンチ。
キムチ倉に隠れているところをチョルガンに見つかってしまいます。
銃口をつきつけられ、絶体絶命のセリ。
ピョンヤンから車をとばして帰ってきたリ・ジョンヒョクは、説明を求められ、
「ぼくの婚約者だ」と嘘をつくことで、その場を言い逃れたのでした。
3話
リ・ジョンヒョクの優しい人柄が、だんだんとわかってくる第3話。
誠実なまなざしを、セリはついつい見入ってしまいます。
セリのことを「僕の婚約者だ」とごまかしたリ・ジョンヒョクですが、新たなトラブルに見舞われます。
リ・ジョンヒョクの本当の婚約者が、北朝鮮に帰国したのです。
一方、リ・ジョンヒョクの兄の死が「事故」ではなく、「故意」の暗殺だったことが明らかにされます。
チョルガンの不正を暴く証拠をつかんでいたジョンヒョクの兄。
不正が明るみになることを恐れたチョルガンによって暗殺されていたのです。
チョルガンは、リ・ジョンヒョクがその弟だと知り、彼を警戒します。
そしてリ・ジョンヒョクの自宅に、盗聴器をつけ、彼らの言動を監視するようになったのでした。
なにかと文句ばかりのユン・セリに、とくに腹を立てることなく、淡々と受け答えするリ・ジョンヒョクがカッコイイです。
北朝鮮のなまりなのか、ソウルの言葉とすこしイントネーションが違うところもキュンとしました。
無口な男性がときどき微笑むと、もうもう、それだけでポイント高いですね!
セリの髪の毛をバンダナで結んであげる手つきが、優しくて・・・・
・・・って、気持ちになりました~(泣)
さて、船乗りに金をわたし、海から韓国に渡航することになったセリ。
世話になった隊員に、一等、二等、三等の賞状渡します。
一等は、一番親切にしてくれたウンドンに。
二等は、韓国ドラマを愛するジュモクに。
三等は、ハンサムなグァンボムに。
賞をもらえなかったジョンヒョクが、スネて憮然とするところ、本当にキュンでした。
しかしセリは、ジョンヒョクにもちゃんとプレゼントを用意していました。
スペシャルサンクス賞として、トマトの苗を贈ったのでした。
そして夜闇のなか漁船を手配したリ・ジョンヒョク。
「送っていく」と言って、セリと一緒に乗り込みます。
このまま韓国の領海まで行けば、脱北成功です。
ところが海上警備の巡視艇がやってきて、舟をとめてしまいました。
あわてて船倉にかくれた二人でしたが、見つかるのは時間の問題です。
「こんなとき南のドラマでは、危機一髪のとき使えるとっておきの方法があるんだとか・・・」
そして、リ・ジョンヒョクは戸惑いつつもセリにキスをするのです。
4話
海上巡視艇の軍人に怪しまれつつも、なんとか言い逃れた二人ですが、作戦は失敗と言わざるをえません。
「もう人にはたよらない」
絶望したセリは、自分の力で韓国に帰ることにします。
もう一度パラグライダーに乗って、韓国まで飛んで行こうというのです。
しかし、当然ながらこれも失敗に終わりました。
ソウルにいたころのセリは小食で「小食姫」というあだ名までついていたとか。
しかも、だれかと食事をすることはありませんでした。
ところが北朝鮮に来てからは、なぜか食べ物がおいしく、
トウモロコシやイモ、おこげのような素朴な食べ物なのに、
不思議と食欲が旺盛になるのでした。
リ・ジョンヒョクが出世すれば、ソウルに帰る手立てもできるにちがいないと考えたセリ。
(セリは、ジョンヒョクが総政治局長の息子だとは、まだ知りません)
大佐の妻・ヨンエと親密になり、そのツテを使ってジョンヒョクを出世させることを思いつきます。
ちょうどヨンエの誕生日パーティーがあるというので、それに出席。
はじめはお互いに警戒していましたが、
持前の愛想と、要領のよさで、セリはだんだん地域の人々と仲良くなっていきます。
セリにぶっきらぼうに接するジョンヒョクですが、
心の中では、セリのことが気になって仕方がない様子です。
わざとセリが出てきたところに自転車で通りかかり、二人乗りで並木道を通りすぎるワンシーンがステキです。
しかしこのときはまだ、セリはジョンヒョクに恋心を持っているようには見えません。
5話
人込みのなか、キャンドルを照らしてセリを探してくれたジョンヒョク。
少しときめいてしまったセリですが、ジョンヒョクに「婚約者がほかにいる」ことを知らされガッカリ。
そんなとき、ジョンヒョクの婚約者、ソ・ダンがジョンヒョクの家に押しかけてきました。
玄関で、鉢合わせするセリとジョンヒョクと、ダン。
ジョンヒョクは顔色一つ変えることなく、「この女性は、一緒に作戦を遂行している同志である」と、セリを紹介します。
冷たいのか、優しいのか、よくわからないジョンヒョク。
セリの心はかき乱されてしまいます。
ソ・ダンをピョンヤンの自宅まで送っていったあと、
ジョンヒョクは自分の実家に寄り、父母に挨拶をします。
そして、「女性をひとり、国際陸上大会の選手団にまぎれこませたい」と父に頼むのです。
セリを補欠選手として海外に脱出させ、家に帰らせる計画です。
それを聞いたセリは「やっと帰れる」と、大喜び。
しかし、そのことは盗聴器を通じてチョ・マンボクにも伝わってしまいました。
「セリは11課(特別任務の諜報員)だ」と、チョルガン少佐には説明していました。
しかし怪しんだチョルガンが秘密裏に調査。
「11課に、若い女はいない」ということを突き止め、ウソがばれてしまいました。
チョルガンは、ウンドンら隊員を保衛部に呼び、暴力で「セリの正体」を吐かせようとします。
チョルガンの拷問の事実を知り、怒ったジョンヒョクは、反撃に出ます。
「トラック事故について、不審な点を釈明に来るように」と、保衛司令部から通達を出させたのです。
容疑車両の運転手と、チョルガンは、司令部に出頭させられることになりました。
さてセリとジョンヒョクは、パスポートの証明写真を撮るため、電車に乗ってピョンヤンまで小旅行です。
ところが旅は一筋縄ではいかず、停電で10時間以上も電車が止まってしまいました。
セリとジョンヒョクは、野外で焚火にあたり、夜を明かしました。
さてク・スンジュンは、北朝鮮に入国したあと、退屈な日々を送っていました。
チョルガンに金を積んで、地図にも載っていない山奥の別荘地を借り、隠れ住んでいるのです。
これから、詐欺罪の時効が成立する10年もの長いあいだ、ここに隠れていなければならないかと思うと、気が遠くなりそうです。
そこで暇つぶしにピョンヤンに出てきたスンジュンですが、ここで偶然、セリに再会してしまうのです。
6話
なれなれしくセリの手を取ってどこかに連れて行こうとするク・スンジュン。
ジョンヒョクは素早く二人の間に割ってはいり、スンジュンの手をねじり上げました。
セリはスンジュンに「Mr.リーは、ボディガードだ」と説明。
ジョンヒョクはボディガードだといわれて、なんとなく釈然としない気持ちでいます。
しかし無意識のうちにセリを通行人や障害物から守るスンジュンは、ボディガードそのものなんです。
ホテルの部屋では盗聴器をみつけだし、テキパキと取り外していきます。
「ジョンヒョクが女とホテルにいる」と知ったソ・ダンは、じっとしていられません。
セリといるところに割って入り、「今夜は両家で食事に行く」約束を取り付けます。
そして会食の席では、ダンとの結婚の日取りを決めたのです。
セリはジョンヒョクと引き離され、ク・スンジュンと過ごすことに。
実は、スンジュンはユン・セヒョンに命乞いをする代わりに、セリが生きている証拠(声や写真)をこっそり提供。
スンジュンは、セヒョンとも手を組むことになったのです。
そういううち、会食を終え、ダンを見送ったジョンヒョクがセリに追いつきました。
セリとジョンヒョクは、ピョンヤンでの夜を、夜景が見えるホテルのレストランで過ごしました。
当たり前のように停電。
しかしキャンドルには火が灯され、窓の外には初雪が降り始めました。
「(韓国では)初雪を一緒に見ると、恋が芽生えるというのよ」と、セリは言いました。
二人はピョンヤンで、ロマンチックな夜を過ごしました。
ピョンヤンで写真を撮ったあと、いったん村に帰ってきたセリ。
村のみんなとお別れ会をしたり、隊員らとお別れピクニックをして楽しみました。
そして空港へ出発する別れの夜。
ジョンヒョクは、隊員のグァンボムにセリを車で送らせます。
しかしセリたちの乗った車が、チョルガンの装甲車が追いかけてきました。
セリを亡き者にしたいセヒョンがチョルガンと結託し、セリの車を押しつぶそうというのです。
絶対絶命のセリ。
そこに助けにきたのがジョンヒョクです。
ジョンヒョクは危険を見越して、こっそり二重警護をしていたのでした。
しかしセリの危機を救ったジョンヒョクでしたが、彼女をかばって敵の銃弾に打たれてしまいました。
7話
大けがをしたジョンヒョクを近くの病院まで連れていくため、セリは泣きながら車を運転しました。
ジョンヒョクは出血性ショックの状態で、輸血が必要にもかかわらず、病院には血液のストックがないといいます。
セリは、ジョンヒョクと同じO型だと知り、自分の血を輸血してもらうように頼みます。
空港に行かなければならないのはわかっていましたが、死に瀕しているジョンヒョクを放っておくことはできませんでした。
その結果、セリは飛行機に間に合いませんでした。
大手術のあと、運よく一命をとりとめ、目を覚ましたジョンヒョク。
しかしそこにセリがいることを知り、飛行機に乗らなかったセリを、ひどく責めます。
「みなが命を懸けているのに、どれだけ迷惑をかければ気が済むんだ!」
激しい言葉で叱られて、セリは言い返すこともできず、セリはその場を離れました。
ジョンヒョクはその後、セリが自分の命を助けたことを看護婦から聞かされます。
「ずっと泣いていた」ことを知り、無神経なしかり方をした自分を反省しました。
外は雨が降っています。
いてもたってもいられず、ジョンヒョクは外で泣いているセリを迎えにいきます。
セリはずっと泣き続けていて、ジョンヒョクが外に出てきたことを知ると泣きながら怒りました。
「あんなに帰りたがっていたのに、なぜ帰らなかったのだ」と、ジョンヒョクが訊くと、
「帰れなかったのよ、私だって、一度くらいあなたを守りたかった」と、セリが答えました。
ジョンヒョクは、セリにキスをしました。
二人が初めて、お互いがお互いを「愛している」と自覚した瞬間でした。
さて、ダンは新居を下見に村へやってきましたが、肝心のジョンヒョクは不在。
かわりにジョンヒョクの自宅の前で、ク・スンジュンと出会います。
スンジュンはスンジュンで、命を狙われたに違いないセリを心配し、彼女を探しに来たのでした。
二人は顔見知りでしたが、これまで詳しい身の上ばなしはしたことがありませんでした。
しかしスンジュンの話は的を得ていて、ダンはついつい自分の話をしゃべってしまうのでした。
病院にいるセリは、公衆電話からスンジュンに連絡を取ることに成功しました。
ところがちょうどそのとき軍隊が病院に押しかけてくるところを目撃。
チョルガンが「武器を持ち出し、私的に使用した罪」でジョンヒョクを糾弾し、連行するためにやってきたのです。
しかしその危機を救ったのは、総政治局長(ジョンヒョクの父)。
ダンとその母もやってきて、セリは出る幕がありません。
セリは、連絡をうけて飛んできたスンジュンの車にのり、病院を離れます。
到着したのは、山奥の招待所でした。
ジョンヒョクは姿をけしたセリを心配し、病院の監視カメラから車に乗ったセリを確認。
ナンバーから招待所の車だと特定し、追いかけることにしました。
しかしそれを阻むダン。
「南の人をかくまったら、どうなるか。あなたは命さえ危ういかもしれない。それでもいいの?」
ダンは、セリが事故で北朝鮮に来た韓国人だと知ってしまったのです。
8話
ジョンヒョクは、「命を失うかもしれない」と忠告をするダンを振りきり、セリを探しに出かけました。
しかし招待所は容易に見つけられず、セリの行方は分からないままです。
招待所で暮らすセリは、ジョンヒョクに連絡することを止められていました。
「連絡すれば、ここで暮らしていかなければならない人に迷惑がかかる。
ジョンヒョク氏がどうなってもいいのか? 軍も来ていたんだぞ」と、スンジュンに脅されたためです。
連絡すれば、ジョンヒョクはまた危険を冒して助けに来るにちがいありません。
これ以上、自分のためにケガをするジョンヒョクを見たくないセリは、連絡することをやめました。
スンジュンは、英国籍を取得した外国人として北朝鮮に来たことを利用し、セリと偽装結婚する計画を提案。
セリにも英国籍を取得させ、安全に国外へ出るつもりなのです。
しかしいくら帰りたいとはいえ、セリはスンジュンと結婚する気にはなれませんでした。
なんとか退院することができたジョンヒョクは、変電所の電線をたどって招待所を突きとめることにしました。
まだ体は本調子ではありませんでしたが、山の中の道なき道を歩き、執念の捜索をつづけます。
そしてクリスマスイブの夜、セリはスンジュンからプロポーズされ、指輪を受けとります。
しかしそこに、とうとう招待所をつきとめたジョンヒョクが乗り込んできました。
「行くな、リ氏が殺されてもいいのか?」
彼のもとへ行こうとするセリを引き留めるスンジュン。
セリは泣きながら、本心とは違うことを愛するジョンヒョクに言わざるを得ませんでした。
静かに、ジョンヒョクのまえへ出て行き、
「あなたなんて待っていなかったわ。スンジュンと結婚し、パスポートを作るの。邪魔をしないで」と言いました。
セリの薬指には、ダイヤの指輪が光っています。
拒絶され、肩を落として去っていくジョンヒョク。
セリは、一度は拒絶したものの、吹雪の中一人でケガしているジョンヒョクを帰すことが心配でたまらなくなりました。
そこで招待所の車を無断で走らせ、ジョンヒョクを追いかけます。
追いかけてきたセリを、ジョンヒョクは思わず抱きしめました。
方々、手をつくしてセリを探しているチョルガン。
「ジョンヒョクを失脚させる」という目的のためです。
セリを確保すれば、ジョンヒョクを追い詰める証人となります。
総政治局長(ジョンヒョクの父)を失脚させたい軍事部長と結託し、権力をつかむべく二人を探しています。
村にある自宅に戻ったセリとジョンヒョク。
(家に帰ってきたことは盗聴でバレていますが、盗聴者のマンボクがチョルガンに報告しませんでした)
セリは、スンジュンからもらった指輪を質屋に入れ、かわりに質ぐさに飾ってあった男物の腕時計を手に入れます。
この腕時計は、実はむかし、ジョンヒョクが兄に送ったもの。
兄が最期に身に着けていた形見の品だったのです。
セリはその帰り道、何者かに拉致されます。
「さようなら、愛している」とジョンヒョクに電話で言い残し、ピストルの音が響き渡りました。
涙を流し、絶望するジョンヒョク。
9話
ジョンヒョクは、家に押し掛けてきたチョルガン率いる軍隊に、逮捕されてしまいました。
営倉の牢に入れられ、セリを探すこともできません。
そこで婚約者のダンを営倉に呼び、「セリはどこだ」と尋ねました。
「セリを拉致するように」と、ダンが総政治局長の父に頼み込んだのではないかと考えたのです。
ジョンヒョクの予想は、当たっていました。
セリが拉致された先は、ジョンヒョクの実家だったのです。
セリは、ジョンヒョクの父、リ・チュンリョルと対面しました。
セリは「悪いのは自分で、ジョンヒョクさんは悪くない」と、ジョンヒョクを徹底的にかばいました。
ジョンヒョクを大切に思う気持ちが伝わったのかもしれません。
ジョンヒョクの母がやってきて、「床は冷たいから」とジョンヒョクの部屋へ連れていってくれたのです。
ジョンヒョクの部屋には、ピアノがおいてありました。
セリはそこで、スイスで聞いた名も知らない曲のメロディーを奏でました。
それが、ジョンヒョクがスイスで、兄のためにひいた曲だったとも知らず。
夜が明け、ジョンヒョクは解放されました。
軍で「総政治局長の息子だ」というウワサを流したことが、功を奏したのです。
まっさきに実家へ直行し、父の書斎にとびこむなり、セリの居場所を問い詰めるジョンヒョク。
「ここに来るまで息もできませんでした、彼女に何かあったらと思うと・・・。
彼女を守ることができなければ、僕の人生は地獄になります」
いつになく雄弁に語るジョンヒョクを、父は苦々しく見つめました。
そこに母に伴われ、セリが出ていきます。
「その傷は、誰にやられたの」と、自分の事よりもジョンヒョクを心配するセリ。
「君は悪くない」と、セリの涙を優しくふいてやるジョンヒョク。
すっかり二人の世界に浸り、別人のように優しいジョンヒョクを見て、両親は開いた口がふさがらないほど驚くのでした。
ジョンヒョクは、営倉から出るとき大佐に頼み事をしていました。
「すぐに前哨地勤務に緊急交代を」と、申し出たのです。
ジョンヒョクはセリとともに非武装地帯に入り、ここに来たのと同じルートで、セリを韓国に帰すことにしたのでした。
ジョンヒョクとセリは、ある月の晩、軍事境界線までの山道をふたりで歩きました。
しかしなかなか到着しません。
セリと別れがたく、ジョンヒョクは何度も道を間違えた(ふりをした)ためです。
しかしとうとう別れの時がきました。
背を向けて歩き出すセリ。
ジョンヒョクは彼女のあとを追って、境界線を一歩超え、抱きしめてキスをしました。
そしてそれを最後に、別々の道を歩きはじめるのでした。