おうちでゴロゴロしながら映画やドラマを鑑賞するの、最高ですよね!
もともと活字が好きなかなぶんだったのですが、最近はなかなか活字を追うだけの根気が続かず・・・苦笑。
もっぱら映像作品ばかり鑑賞しています。
最近、ようやく話題の映画「カメラを止めるな!」を鑑賞いたしました(遅すぎw!)。
今日は映画「カメラを止めるな!」のあらすじと感想をレビューしたいと思います。
「カメラを止めるな!」のキャストは無名ばかり?(ネタバレなし)
※この項で使用している写真は、すべて映画「カメラを止めるな!」の公式ホームページより引用・転載したものです。
日暮隆之(濱津隆之)・・・監督役
日暮真央(真魚)・・・監督の娘役
日暮晴美(しゅはまはるみ)・・・監督の妻役
松本逢花(秋山ゆずき)・・・ドラマのヒロイン役。血まみれ、逃げまくり、叫びまくる。
神谷和明(長屋和彰)・・・売り出し中の若手俳優で、わわやかイケメン風青年。
細田学( 細井学)・・・ドラマのカメラマン役のおじさん。
山ノ内洋(市原洋)・・・ドラマの若手助監督。
山越俊助(山﨑俊太郎)・・・スキンヘッドにタオル鉢巻きの音声さん。
古沢真一郎(大沢真一郎)・・・企画の責任者。
笹原芳子(竹原芳子)・・・ゾンビ・ドラマを作ろうと発案したおばちゃん。発言権が大きい。
栗原綾奈(合田純奈)・・・若くて真面目なAD。不満があっても口には出さない。
・・・その他多数。
以上の通り、有名な俳優さんは1人も出ていません。
ただ、どの俳優さんもアクが強めの曲者ぞろいな面々。
コレ、無名の俳優を起用することで、ドラマの展開を予想されにくくする意図があるとか。
・・・ああ、でも。
確かに有名芸能人を起用しちゃうと「ゾンビやホラーはOKだけど、血しぶきとか内臓ドバーっなグロはNG」とか、いろいろと制約がありそうですしね。
「事務所からダメって言われてます~」みたいな。
(本作中にも、そういうのを匂わせるシーンがありましたし)
とにかくなにもかも自由なことが、本作品のオリジナリティをさらに強烈にしている所以でしょう。
「カメラを止めるな!」のあらすじ(ネタバレなし)
とある廃墟で、ゾンビに襲われる自主制作ホラー映画を撮影することになった撮影隊。
ヒロイン・松本逢花は、ゾンビから襲われ、悲鳴を上げながら失神するシーンを演じていた。
しかし迫真の演技とはいえず、怒った監督からはひどいダメ出しを食らってしまう。
撮影現場となった廃墟は、昔、旧日本軍が人体実験に使っていたといういわくつきの場所。
薄暗く、陰気で、なんとなく気味の悪い工場の廃屋に、突然気味の悪い物音が!
いきなり飛び込んできたのは、なんと本物のゾンビで・・・!?
・・・というのが導入部のあらすじ。
怖いですね~、下っ腹がキューンとなります(←おしっこしたくなった)。
これ以降は、実際の映画をお楽しみくださいね。
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映画「カメラを止めるな!」はつまらない?何が面白いのかわからないといわれる理由
「カメラを止めるな!」は、SNSでも話題になり、各方面で大絶賛でした。
日本国内の評価が高いというだけでなく、国際的な映画祭でも映画賞を総なめにするいきおい。
さきほど紹介したように、登場人物に有名人がいるわけでなく、
派手なセットが用意されているわけでなく、
製作費はなんと300万円というショボさ・・・。
にもかかわらず、アイデアとセンスで興行収入30億円以上をたたき出したというからオドロキですね。
「こんなおもしろい映画は初めてだ!」
「感動した!アイデアが新しい!」
このような、好意的な感想が多いなかで、
ある一定数は否定的な感想が多いのも事実です。
「まったく面白いと思えなかった。何が感動的なの?」
「なにが面白いのか、意味がわからない」
映画「カメラを止めるな!」は何が面白いのか?鑑賞後の感想 (ネタバレあり)
映画「カメラを止めるな!」は何が面白いのか?
それは作品が多重構造的なつくりになっており、ひとつの作品で違うテイストを二つも三つも楽しめるところにあると、かなぶんは思います。
ひとつの大きなストーリーの箱の中に、入れ子式にもう一つのストーリーが入っており、さらにそのストーリーも入れ子式の箱になっており、中からもっと小さな箱が出てくる、みたいな。
はじめはホラー。
でも次にコメディー。
しかしその真実の姿はヒューマンドラマ。
味が変わるアメ玉ってあるじゃないですか。
それをたった100分たらずの映画でコンスタントに表現しちゃう、監督さんスゲーです。天才だあ。
ときどき作る側が意図しないで、いつのまにか話のテーマがすり替わっちゃったドラマや映画とかもありますよね。
しかしこの映画の場合は、実に巧緻に伏線を張り、意図的に視聴者の目線と心理を手玉に取って、作品のテーマを手品のようにすり替えてしまうのです。
いい意味で、予想を裏切られましたです。くそう。
映像作品を作る側の立場や背景を意識すると、コメディーをもっと楽しめる!
この映画は、視聴者目線で固定されてしまうと面白さがわからないのではないでしょうか。
映画やドラマを作る側に立ったことがあったり、演じたことがある人間は、裏方の苦労や緊張がわかりすぎるくらいわかるからこのコメディが面白いと感じられることでしょう。
映像制作がどれほどの苦労の上に成り立っているか、それに携わったことがある人間しかわからないようなところもありますね。
(かなぶんは携わったことはありませんがw)
だからこそ、
- カメラ一台のみのワンカット
- 生中継
という条件が、いかにムチャぶりかがわかるというもの。
そういえば昔やってた「8時だョ!全員集合」とかも、公開生放送だったの、ご存知ですか?
今大人になってから思い返すと、「よくやるよー!(;’∀’)」と思うもん~。
ひょっとしてトラブルでしくじったら、放送事故になっちゃうんだよ!?
(最悪のケース、だれかの首が飛んだりして?)
さすがドリフターズは、アドリブで切り抜ける技がスゴかったですもんね。
今では考えられない度胸。
で、この映画の中でも、「ワンカット(いったんカメラを回し始めたら回しっぱなし)」と「生放送」という悪魔のような条件がつけられたおかげで、役者や撮影スタッフがメチャクチャ振り回されるわけなんですよ。
「監督役の俳優が現場にくる途中で事故ってしまい、突然来れなくなった!」とか、
「重要な役の1人がおなかを壊してゲリになり、突然の便意に現場から逃げ出す!」とか、
「アル中の俳優が我慢できずに撮影中に飲酒し、べろべろに酔っぱらったゾンビになる!」とか、
「役にのめり込みすぎて台本すっ飛ばし、発狂ぎみになるおばさん!」とか、
とにかく台本通りに行かない。
しかし放送に穴をあけないために、なんとか「つなげて」「のばして」「乗り切ろう」とするプロ根性に、おもわず観客は笑ってしまうんですね。
俳優もスタッフも、最初はみんな自己主張ばかりして、バラバラな方向を見ているんですよ。
でも「カメラは絶対に止められない」というプレシャーの前に、いつのまにか皆の見ている方向が一緒になるわけなんです。
意地というか、プライドというか。
職人魂みたいなもの。
その結果、演技を越えた、異常なほどの緊張感が画面からにじみ出てくる。
はじめなにも知らないで見ている視聴者側は、その変な緊張感を、最初の段階では「ゾンビが現れるかもしれない緊張感」と取り違えちゃうんです。
(あとから、アーあれはそういう意味だったのか~、となるわけです)
俳優は、単純にアドリブで演じなければならない不安でオドオドしているのに、
見ている側は、勝手に「ゾンビが現れそうな恐怖でオドオドしている」とカン違いし、
迫真の演技に圧倒され、突如ゾンビが現れて、見ているかなぶんが「ぎゃーっ!!」となる、という・・・(*´Д`)。
・・・ていうか、グロ系ホラーがあまり好きではないかなぶん(こんだけ語っといて苦手w)
途中、カメラワークがめちゃくちゃになって、スナッフビデオみたいに不気味な感じになったり・・。
前半部分は、まじで気持ち悪かった_| ̄|○、;’.・ オェェェェェ
ラストが感動的なのは、学園祭の一体感と同じ
この映画の真実のテーマは、家族再生ヒューマンドラマです。
「キャー!」「うわー!」と叫びまくっている役者さんたちは、みせかけの主役。
ホントの主役は、監督役のおじさんと、監督の妻役のおばさんと、監督の娘役の若い女の子の3人のファミリーなんですね。
娘は、性格的にクセが強く、仕事に関して妥協が許せない監督見習い。
妥協しまくってそこそこの作品しか作れないを監督(父親)のことを軽蔑しています。
家では目も合わせない父と娘。
しかし「ONE CUT OF THE DEAD」の撮影現場で、人が変わったように職人魂を見せる父親の姿に感動し、少しずつ評価を変えていくわけです。
ところが、撮影中にクレーンがぶっ壊れるアクシデントが起きてしまいます。
クレーンがないと、ラストのシーンが締まらない。
しかし監督(お父さん)はプロデューサーに窘められ、立場上、妥協を余儀なくされてしまいます。
そこで娘が代替策を講じます。
「放送終了まで、残り15秒!」
やけに長く感じる15秒をカウントしている間、カメラを担いだ娘は、人間ピラミッドのてっぺんに昇り、幼かったころのようにお父さんに肩車されているわけです。
崩れそうで崩れない人間ピラミッドの頂上で、血まみれになった女優を必死に撮影する娘。
仕事を通じて娘のリスペクトを勝ち取ったお父さん。
ああ、視聴者に全く見えないところで、なんて多くの人々のドラマと葛藤を内包したワンシーンなんだろう。
(ゾンビとは何の関係もない葛藤なんだけども)
むしろ「番組として流れた部分の方がカスなんじゃないのか?」という気さえします。
真に面白いのは、撮る側の世界なのかもしれませんね。
・・・で最後、視聴者を代表して、総責任者のプロデューサーのおばちゃんが、
「始まる前はどうなることかと思いましたが、本番はトラブルもなくホンマによかったです!」
って、気さくにコメントしてて、裏方の大変さを全く理解しとらんという。
なにいうてはるの~、トラブルばっかりやないの~、なんもわかっとらんやないの~。
なんでゾンビがテーマ?日本人にはシュールなキワモノ
ゾンビとコメディ、ヒューマンドラマって、みんな別々の方向を向いているような感じですよね。
だけど真逆のものではないというか。
ゆるい親和性があるというか。
いつだったか地上波ドラマの「玉川区役所OF THE DEAD」でも、ゾンビとコメディ、ヒューマンドラマが、やはり見事に共存していました。
広瀬アリスが竹刀振り回して、ゾンビをぶっ叩き、恐ろしいはずのゾンビは養生テープでぐるぐる巻きにされ、捕獲されるw。
あきらかにコメディです。
怖いんだけど、面白い。
で、なんか、可笑しい(←おかしい、というより可笑しいっていうイメージ)。
日本のゾンビって作品にシュールなにおいを出させやすい、おもしろ小道具的なアレなのかも?
でこの映画に関しても、ゾンビというスパイスがおもしろエネルギーを注入して、この映画を「なんだか変な映画」にしちゃっている、という。
撮影している当人たちは、いたって真剣なんですけどもね・・・