数年前からこじれにこじれている韓国と日本との関係。
韓国ドラマをよく見る私としては、
・・・と、思うこともしばしばですが。
もともとの発端は根深く、明治時代から昭和初期にかけての「韓国併合時代」にさかのぼります。
その時代を描いた「虹を架ける王妃〜朝鮮王朝最後の皇太子と方子妃の物語〜」。
2006年、フジテレビ系(地上波)で放送されました。
今見て、改めて思いますが・・・・
衣装もセットも、民放ドラマとはとても思えないほどとても豪華!
しかも歴史的背景もウヤムヤにしないで、かなりシッカリ描きこまれています。
慰安婦問題がどーの、
徴用工問題がどーの、
反日教育がどーのと騒いでいる現在なら・・・・
それくらい、かなり切り込んだ作品となっています。
(・・・ていうか、まだつい最近まで日本のスタンダードはこの水準だったんです)
そして歴史問題への深入りが大胆であるのもさることながら、その出来栄えもすばらしい。
もはや作品と呼んでもよいほど、美的センスにこだわったドラマとなっております。
あらすじ(※ネタバレなし)
主人公は、日本の皇族・梨本家の長女として生まれた、梨本方子(なしもとまさこ)。
当時は、家柄的にも、年齢的にもつり合いが取れるため、
当時の東宮陛下(のちの昭和天皇)のお妃候補だといわれていました。
ところが持ち掛けられた縁談は、なんと大韓帝国の第7皇子・李垠(イ・ウン)との結婚だったのです。
ここで歴史の裏話。
ほんとうかどうか、もはや定かではありませんが、
なぜ、方子が昭和天皇のお妃候補をハズされたかというと、
当時の侍医が「方子さまは不妊症」だと診断されたからだとか。
不妊症の女性を、大韓帝国の皇子とめあわせようとするのも、
大韓帝国断絶という目論見があったからだとか・・・・・・。
結局、方子は子供を出産したため、
診断した侍医は、処罰されたそうです。
イ・ウン殿下と方子様は、仲睦まじく、
子供にも恵まれたので、結果的にはオーライだったのですが。
そのウワサが真実なら、本当にひどい話ですよね。
さて、ドラマに戻ります‥‥‥
よく知りもしない異国の皇子に嫁がなければならない、我が身の不運を嘆く方子。
当時はまだ、「朝鮮人は野蛮だ」と思っている日本人も多かったですし、ね。
しかし実際に会ってみた李垠殿下は、少し影があるものの、優しく紳士的な男性でした。
「巣から落ちたひな鳥を、親鳥のもとに返したい」という方子の頼みを聞いてくれたり、
方子が縫った鶴のマスコットを、いつまでも大切に持っていたり・・・・
はじめ「朝鮮人なんてイヤだ」と思っていた方子ですが、
李垠の優しい人柄に触れ、少しずつ気持ちに変化が現れ始めるのです。
大日本帝国からの支配を嫌い、大韓帝国の各地で暴動が起きていた当時。
二人の結婚に反対する国民も多くいるなかで、日本と韓国を結ぶロイヤルウエディングが行われました。
しかしこれは、李垠と方子の幸せと不幸せの始まりだったのです。
運命と時代にほんろうされた一組のカップルが歩んだ、愛にあふれた切ないストーリー・・・・
キャスト
梨本方子・・・菅野美穂
李垠・・・岡田准一
・・・・いやいやいや、ドラマですから!
だいぶ美化されていても、その辺はご愛敬ですよね。
韓国の皇子役に、5本の指に入るくらいのイケメン日本人俳優を当てており、
この配役自体、日韓友好の印だともいえるのではないでしょうか。
そのほか方子の両親役に、古谷一行、原田美枝子。
李垠のお付き役に、渡辺いっけい。
ナレーションに、森光子。
そのほか韓国方の皇室には、韓国の俳優さんも出演しています。
個人的に、菅野美穂さんの演技がよかったと思いました。
絹のベールを揺らさないような、肺活量の少ないしゃべり方が、いかにも貴族の令嬢っぽい。
わざとなのか、そうじゃないのかはよくわからないのですが、
感情によって表情の変化が少ないところとかも、いかにも貴族っぽい。
また岡田准一さんの、陸軍の軍服姿もキマっています!
しかも韓国語を話すシーンも多く、
(たどたどしいような感じもしないわけじゃありませんが)努力の跡がうかがえます。
スキンシップが物足りないような?
日ごろから、韓ドラのラブロマンスに慣れていると、
いちゃつくカップルが当たり前になっていて、
むしろイチャつかないカップルは、
なんだか物足りないような気持ちになってしまいます(;´・ω・)
方子と李垠が出会い、お互い惹かれ合うシーンは、もっと・・・・
・・・と、思ってしまいました、えへへ。
当時の歴史的背景に重点を置いたストーリー展開なので、
エンターテイメントとしてはやや物足りなさを感じるような?
いやいや、そもそも日本人はそんなにベタベタしないか。
李垠陛下も、控えめでおとなしい性格として描かれていましたからね。
それに2時間のドラマ枠なので、そうそうスキンシップのシーンばかりに時間を割けないのかもしれません。
しかしドラマを見ながら歴史を学ぶことができる点では、
とても分かりやすかったですし、クオリティも高かったと思います!
国家と民族、戦争に運命を引き裂かれそうになりながら、必死で抵抗し、
手をつなぎ合おうとする二人。
もうこの設定だけで、号泣必至ドラマではないでしょうか!?
#虹を架ける王妃 見ました。2006年放送フジ系テレビドラマ。菅野美穂さん、岡田准一さん主演。
絵画のような映像美がとてもステキ👍
まるでレンブラントの絵画のような、柔らかい陰影が印象的なシーン。 pic.twitter.com/qvMO8Bpr3z— かなぶん (@kanabuntree) August 4, 2020
このように、こだわりの映像美もみどころ。
プロデュース:中島久美子(フジテレビ)、西岡善信、酒井実(映像京都)
演出:河毛俊作(フジテレビ)
カンケーない話ですが、中島久美子さんという方は、俳優・大泉洋さんの奥様だそうです。
演出、ステキです。
背景に流れる、優美なクラシックピアノも、作品の雰囲気とうまく合っていると思いました。
「虹を架ける王妃」は後世に残していくべき作品
先日、女優の綾瀬はるかさんと、韓国スターのノ・ミヌさんの熱愛報道がありましたね。
そのさい、日韓両国からものすごいバッシングがあったことも記憶に新しいのではないでしょうか。
本当に付き合ってたかどうかさえハッキリしないのに、
向けられた誹謗中傷は、目を覆うばかりにヒドかった。
同じ日本人としても許しがたく、とても恥ずかしいと思いました。
日本と韓国の国際問題なんか、正直、二人には何の関係もないものです。
方子と李垠。
二人の謙虚な生き方を見て、わたしたちは彼らの生き方について外野から文句をつけることなどできるでしょうか。
そして、綾瀬はるかさんとノミヌさんに対するバッシングを許していていいのだろうか、と思いました。
・・・わたしは、
「戦争を呼び込んでしまった日本人の本質」は、
意外にも、過去も現在も変わらないものだと思うんです。
とても残念で、認めたくないことですけどね。
だから「もう戦争の事は過去のこととして忘れてしまおう」とするのは間違いだとも思っています。
二度と同じあやまちを繰り返さないようにするには、
できるだけたくさんの歴史的事実を後世に残すこと。
そして、過去の歴史的事実を定期的にふりかえること。
最低でもこれだけは、毎年すべきことなんだと思います。
そう再認識したドラマでした。オススメです。